インタビュアー: ああレイトンさん、どうぞお入り下さい、どうぞおかけ下さい。ではわが秘密情報局に加わりたいと、そういうわけですね? 素晴らしい。我々は切れる頭と高い知能とまともな神経の持ち主を求めていまして。まともな神経はお持ちですね? 我々の使命においてはまともな神経が必要なのです、とうにご承知だとは思いますが。(電話が鳴り椅子から飛び上がる) …失礼、電話でした。えー何を話していましたっけ? (電話に)やかましいっ! …失礼、こっちに言ったんでして。えー何の話でしたっけ? ああそうでした、それではちょっと詳細を、履歴ファイルを見せてもらいましょう。貴様っ!ファイルはどこだっ? 失礼、最近ちょっとファイル整理に問題がありましてね。(電話に) ああミス・ジャクソン、レイトンさんのファイルを持ってきてくれ。タバコはどうです? お吸いにならない、そうですか。(男性が入ってくる) ああミス・ジャクソン、ありがとう。貴様っ! 貴様はミス・ジャクソンじゃないっ! …失礼ミス・ジャクソン、見事な変装だ。ところで、昨日ここに置いておいた、「最高機密」という判のついたあの核兵器関係のファイルはどこにやったかな?
ミス・ジャクソン: 昨日こちらにお見えになった、外国の方に差しあげました。
インタビュアー: 解雇いたします。貴様クリケットをやるってのかっ!? …失礼。手前即刻クビだっ! クリケットはおやりになりますかな? バッター? ピッチャー? わたしはかなり熱心にたしなみまして。特に思い出深いあの試合、バッターが弾丸の如く打ち返し、わたしのこの眉間をこんなふうに直撃し(気絶する。ただちに蘇生し、もう一度繰り返し、また気絶する。また蘇生し) その直後の打席もまた危うい飛球、しかしこれをなんとか回避しましたところ、ボールは外野を点々と、野手がそれに追いつき拾って投げてよこすと、ホームを張っていたわたしの、この後頭部を直撃し(気絶する)。 次の打者は狙いすましたかのごとく、半スイングが鮮やかにわたしの守備位置へ、そしてこの眉間を直撃し。もちろんそのころまでには、わたしはいささか慣れてきていて。外国語はどの程度? フランス語は? よろしい。ではドイツ語は? ドイツ語を話しますか? 貴様まさかドイツ人ではないでしょうな? タバコはいかがですか? 身体的苦痛には耐えられますか? 拷問は? 拷問にはどの程度? わたしは5年間ジャップの捕虜だったことが(激しい発作)。それともあれはマレーシアだったか? (激しい発作) いやジャップだった(激しい発作)。 なんとか生き抜きましたが(激しい発作)。 何だよ手前何見てるんですか? タバコは? それでは履歴を拝見しましょう。なるほど、ベリオルカレッジ、テニスにピアノ、マンドリン。マンドリンをお弾きになる?よろしい。貴様まさか中国人ではないでしょうな?
秘密情報局には中国人はいらんのです。いや恐いわけではないですが(銃を抜く)。奴らはジャップほど低劣ではありませんが。なにしろ苺畑の壁を越えてやって来る奴らで。苺はいかがですか? えーつまり、何故情報局に入りたいと? 秘密は守れますかな? 暗号は得意ですかな? 例えば「紫フクログマが足で拍手をした」はどういう意味だと?
レイトン: 「バグダッドの壁はぬるぬるの緑色である」です。
インタビュアー: 何故それをっ? 貴様まさかCNDではないでしょうな? マリファナは? お父上は何をされて? 戦時作戦本部にお勤め? こりゃ面白い、戦争があったなんて。釣りはなさると? 何曜日に? 金曜日? ふむ、わたしも釣りをよくしたもので。そういえば地中海でサメ釣りをしたことが。5時間の格闘の末3トンの獲物をひっかけた、ボートにつないで帰ってきて、まさに陸に揚げようとしたその瞬間、やつは水から跳ね上がり、デッキに着地したと思ったらわたしの腕をここの肘から、さくっときれいにひと噛みで。 …失礼、妻の腕でした。いやわたしのだったかな? …ああ失礼、海外に行かれたことは? 大陸へ? よろしい。わたしも昨年妻とヨーロッパへ行きまして。いや失礼ちょっと勘違いを、わたしは結婚していない。(腕を確かめる) 紅茶? コーヒー? ブラックそれとも? 貴様まさか黒人ではないでしょうな? (電話に)紅茶を二人前。どうぞお平らに。あっ誰か背後からっ!あははははは古いトリックです。そんなに簡単にだまされてはいけませんなあ。(椅子をぐるぐる回す) ところでミドルネームはオブロンスコヴィッチさんとおっしゃるのですね。貴様っまさかロシア人ではありませんでしょうな?
レイトン: そうです。
インタビュアー: ああそれは残念。と言いますのは、ロシア人は秘密情報局員にはなれんのです。ではさようならご機嫌よう。(レイトン銃を抜く) ああそれは凄い、いや言わんで下さい、スミス・アンド・ウェッソン42口径の新しいモデルですな? 撃鉄が親指一本で起こせる素晴らしい型で。(レイトン撃つ) あはははは、もちろん空砲だってことはお見通し、何故ならお撃ちになったとき反動がほとんどない、この手練れをだまそうたってそうはいかない。それに砲口の煙が灰色だ、灰色の煙は空砲で。ね? 実弾なら煙は青っぽいはずで。いやこれはまた妙な小細工をしたもん。(電話に) ああもしもし? すまないがコーヒーは一人前にしてくれ。(死ぬ)
Source: A Clump Of
Plinths :1963 |